ご挨拶
大会長ご挨拶

第44回日本医用画像工学会大会を,2025年8月28日(木)~30日(土)に東京科学大学湯島キャンパスM&Dタワーで開催いたします.大会のテーマは,「未来の健康を支える医療画像技術」です.わが国では,現在,全国医療情報プラットフォーム構想が打ち出され,従来ばらばらに保存・管理されていた患者の医療関連情報を,集約して閲覧共有・管理するための新しいシステムの導入が進められています.同時にこのシステムを用いて,個人の医療情報を患者本人が自らの意思で管理・利活用するパーソナルヘルスレコード(PHR)の導入も進んでおり,遠からず患者自身が画像を含む自らの医療情報を自ら利活用する時代が到来すると考えられています.このような背景のもと,JAMIT 2025では,医療健康分野に医用画像工学がどのような新たな価値を生み出せるかを皆様と議論できるような場にとしたいと考えており,それを踏まえた特別講演,シンポジウムなどを構成しております.また,今後の JAMIT を支える若手研究者によるセッションなども企画しております.
特別講演は,医療と健康についての研究について,総合的視点から取り組まされておられるおふたりにお願いいたしました.おひとり目は,九州大学大学院医学研究科医療情報学講座教授の中島直樹先生です.中島先生は,健康医療データを用いたビッグデータ解析や個人のデジタルデバイスを用いた個別性の高い患者中心の健康医療サービス提供のための研究にも取り組んでおり,今後個人健康管理のためのPHRがマルチモーダル化する中で,PHRが画像を含めてどういう情報を集めるとどういう役に立つのかを分かりやすくお話しいただく予定です.お2人目は,東京科学大学大学院医歯学総合研究科歯科公衆衛生学分野教授の相田 潤先生です.先生は口腔の状態と健康等の関係について研究されており,歯科領域の疾病等が健康や全身の疾病等にどのようなインパクトを与えるのかについてお話しいただきます.
また,本年度は,大会初の試みとして,東京慈恵会医科大学人工知能医学研究部中田典生先生のご協力のもと,医療AIスタートアップを集めたMeetupイベントを企画することとなりました.このイベントは,立食形式で軽食をいただきながら,医療分野における最新の技術や知見を共有し,参加者の皆様の交流を促進することを目的としています.特に医療AIに関連するスタートアップの方々にお集まりいただき,様々研究者との活発な意見交換や将来的な協力の可能性を探る場として利用していただくことを期待しております.
そのほかの企画については,例年どおり初日の午後に,教育委員会が企画したチュートリアルを行います.また, 2日目と3日目にシンポジウム2本を企画しております.さらに,今年も大会2日目(8/29)と3日目(8/30)には,例年大好評を博しております深層学習ハンズオンセミナーは開催いたしますので,ぜひ奮ってご参加ください.
また,一般演題についてはすべてポスターセッションとして,参加者が全発表を共有できる形態にする予定です.ポスターセッションでは,ポスターツアーを実施し,全発表者にポスター前での5分程度の発表を行っていただく予定です.参加者の皆様におかれましては,いろいろな分野の発表に触れ,ポスターセッションでの活発な議論を期待しております.
東京科学大学は,2024年10月に,東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し誕生した新しい科学系大学です.新大学では,医歯学系と理工学系を融合させ,新たなコンバージェンス・サイエンスを創成することを通して,社会を大きく変えるイノベーションを起こすことを目指しておりますが,これは,日本医用画像工学会が,それぞれの専門分野が異なる医学系及び工学系の研究者が医用画像という共通の分野で議論を行い,高度な連携を目指している点と共通するものがあります.是非,この新しい大学で,医学系,工学系だけでなく様々の分野の方々が活発な議論を交わし,交流を楽しんでいただければ幸いです.では,会員の皆様と8月28日~30日に東京科学大学湯島キャンパスでお会いできることを楽しみにしております.
2024年11月
第44回日本医用画像工学会大会
大会長 小尾 高史 (東京科学大学)
学会長ご挨拶

第44回日本医用画像工学会大会(JAMIT 2025) は,2025年8月28日(木) から30日(土),東京科学大学湯島キャンパスM&Dタワーにて,小尾高史先生(東京科学大学)を大会長に開催されます.東京科学大学は,東京医科歯科大学と東京工業大学の統合により誕生した新たな大学で,医学と工学の融合を象徴する場です.この記念すべきキャンパスでの開催は,大変意義深いものです.
大会テーマは,小尾大会長が「未来の健康を支える医用画像技術」と設定しました.QOL向上や健康寿命延伸を目指す医用画像技術の社会的貢献を軸に,イメージング(撮像原理や画像再構成)と医用画像処理(解析・予防/診断/治療への応用)の両分野を含む多彩なプログラムが予定されています.
特別講演では,九州大学・中島直樹教授に「マルチモーダル時代におけるPHR(Personal Health Record)をコアとした社会実装」についてご講演いただきます.中島先生はリアルワールドデータや個人デバイスを活用し,個別性の高い患者中心の医療を目指す研究を推進されており,医用画像データの利活用とも密接に関わっています.東京科学大学・相田潤教授には「健康の社会的決定要因から考える,口腔の健康と全身の健康」についてご講演いただきます.健康において,生物学的要因に加え社会的要因を考慮する重要性を示すもので,医用画像の役割を多面的に再考する機会となるでしょう.いずれも本学会が目指す健康社会実現に向けて貴重な示唆となる内容です.
シンポジウムでは,イメージング分野の最新の世界的研究成果が紹介されます.例年,冬のJAMITフロンティアでは医用画像解析分野のトップ会議MICCAIの報告が行われており,若手のモチベーション向上にもつながっています.イメージング分野において最新動向に特化したセッションは,これまで以上に刺激的な内容となることが期待されます.若手委員会による恒例企画「JAMITの未来をつくろう!」も開催され,活発な活動報告が期待されます.
チュートリアルとハンズオンも充実しています.「だれもつまずかないAIを利用したプログラミング」では,生成AIにプロンプト(指示文)を与えてコードを自動生成する実践的な内容を取り上げ,初心者でもAIを活用したコーディングを体験できます.さらにランチタイムには,医療AIスタートアップが参加するMeet-Upイベントも開催されます.工学系・医学系・企業系の研究者が新たな連携を模索する場となり,参加各社によるショートプレゼンも企画されています.ネットワーキングの場として,ぜひご活用ください.一般演題も100件以上集まり,多様な研究成果がポスター形式で発表されます.これらはMeet-Upや企業展示と同じM&Dタワー最上階で開催され,東京の街並みを一望できる開放的な空間で議論や交流を深めていただけます.
御茶ノ水は交通アクセスにも優れた好立地です.多くの皆様にご参加いただき,本分野の発展に貢献する実り多い大会となることを願っております.皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます.
一般社団法人 日本医用画像工学会 (JAMIT)
会長 佐藤 嘉伸 (代表理事)